「自然素材の家」ってキャッチコピーはだいぶ使い古された感がありますね。
さて、「自然素材」の定義ってご存じでしょうか?
実は、住宅業界には定義の曖昧な、それでいて耳障りの良い言葉が多いことを知って欲しいです。
ちょっと話が逸れますが、
「徹底的に」とか、「きちんと」とか、「しっかりと」って単語ありますよね。
言葉に騙されていることに気づいていますか?
例えば「徹底的に」という言葉。
仕事で「徹底的にチェックします」なんて言いますよね。
でも、「徹底的にチェックする」って意味がわからないのです。
「徹底」という言葉の意味を調べると「底まで貫く」とあります。
例えば「事故を起こさないように徹底的にチェックする」
今までも事故を起こさないようにチェックをしてきたが、事故が起きてしまった。
「今後はこのような事故を起こさないように徹底的にチェックします」
徹底的って言葉を使うことで、今までと異なるように聞こえますが、
今までだってチェックをしてきたわけで、やり方が変わらなければ徹底しても変わりません。
「徹底する」という言葉を使うと、なんとなく厳しいチェックに聞こえる、というだけです。
厳しいかどうかは気分の問題で、徹底的という言葉を使ったら厳しく聞こえるだけです。
徹底する
という言葉に大きな定義がないのです。
自然素材も一緒です。
木造住宅は木を使って建てています。
柱や梁に鉄骨を使うメーカーさんもありますが、
それ以外の住宅メーカーはすべて木を使う=自然素材です。
自然素材の家
というだけでなんとなく良いように感じてしまう。
でも、それはなんとなく、というだけです。
例えば日本の家づくりで、「自然素材」である木の家具には塗料を塗布します。
多くの場合、「ウレタン塗料」を塗布するのですね。
シミになりにくく、硬くて傷もつきにくい、表面の艶もとても良いです。
ウレタン塗料は樹脂を木の表面に塗っていることになります。
樹脂はつまり、プラスチックの一種ですから、木の表面にプラスチックを張り付けていることになります。
木の表面をプラスチックで覆ってしまっているわけですから、
自然素材であっても性能的にはプラスチックと一緒なのです。
プラスチックの透明な下敷きが濁ってくるのと一緒で、小傷と共に汚れていきます。
自然素材を使うと何が良い事があるのでしょうか?
ニュースタでは自然素材を使う事により、木の呼吸で室内の調湿ができると考えています。
だからこそ、表面を樹脂で覆う「ウレタン塗装」はやりません。
木の手触りは気持ちがいいと考えています。だから「ウレタン塗装」にはしません。
そして、経年で木目の雰囲気の変化を楽しんでいただきたいのです。
そうなるとやはり、「ウレタン塗装」にはしません。
また、木目シートを張り付けたドアは、天然の木材と経年での変化が異なります。
家の中に木目シートと木という二つの経年変化があるのは違和感です。
だから、木目シートを張り付けたドアや家具は採用していません。
こんな風に考えて自然素材を使っています。
でも、私たちの使っているのも自然素材ですし、ウレタン樹脂でコーティングされてしまうのも自然素材。
自然素材と言う耳障りの良い言葉は何の解決もしない割に高級なイメージを得てしまいます。
耳障りの良い言葉には注意をしてください。