住宅は建てたら永久に快適に使えるものではありません。
ということは多くの方がご存じかと思います。
しかしながら、このテーマは住宅建築業者とお客様の認識の差として存在し続けます。
この認識の差としてあるのが「メンテナンス」と「補修」です。
例えば、床に水をこぼしたらどうしますか?
この水をふき取るのもメンテナンスの一つです。
床のホコリはどの程度のスパンで掃除をしていますか?
ホコリを掃除機で吸い取るのもメンテナンスです。
メンテナンスの意味は「保守」や「維持」です。
初期状態を「維持」する、ことは無理ですが「保守」ならできると思います。
さて、床の水です。
拭き取らなければどうなるか?
答えは簡単で、乾きます。
それ以上でもそれ以下でもありません。
水がこぼれて木が腐るとでも?
ただし、こぼれた水に含まれたカルシウムが残りますので、水垢となります。
しかしながらこれは、ニュースタの標準仕様の無垢木材でも、他社が使う合板フロアでも同じ。
大理石の床でもモルタルの床でもプラスチックの床でも一緒です。
また、無垢の床の場合は、シミが黒く残ることもあります。
これはこぼれた水に含まれた汚れ成分を床が吸収してしまうからです。
でも、合板の床の場合は、合板に水がしみ込んでしまうと接着剤が弱くなり、
合板を形成している薄い木材が肌別れして強度が下がってしまいます。
合板の表面に吹き付けられた樹脂塗料にひび割れや傷があるとこういった事象が起こります。
また、このひび割れや傷があれば、無垢の床材と同じように黒くシミになります。
自然素材だからメンテナンスが必要、自然素材を使わないから自然素材が必要ない
という問題ではないのです。
例えば自動車はオイル交換やタイヤ交換、洗車やワックス塗布などのメンテナンスを行いますよね?
さらに2年に1度の車検は欠かさず行い、指摘事項はすべて「有償」で修理しますよね。
それはガソリンスタンドの店員さんにすすめられたり、法律で定められたことだからですが、
でも、やはり、自動車を安全に長く乗りたいから、という理由だと思います。
住宅も一緒で、オイル交換のようなものやタイヤ交換のようなもの、洗車やワックスは必要で、
それは自然素材だから、とか、樹脂素材だからというわけではなく、必ず必要なのです。
日本においては家は建て主の所有物で、消費物という感覚があります。
実は海外ではこの感覚は異なり、家は建て主の資産で、いつかは売るものという感覚です。
つまり、自動車を下取りに出すためにマットを敷いたり洗車するのと同じ感覚というわけです。
海外ではライフスタイルの変化があれば、住んでいる住宅を売り、自分たちのライフスタイルに合う住宅を購入します。
「家を売る」という感覚は日本ではそれほど浸透していませんが、海外では当たり前なのです。
だからこそ資産価値の高い家を建てる、資産価値を維持するためにメンテナンスをするのは当たり前なのですね。
無垢材の床と合板の床を比較してみます。
無垢材の床は、例えば文化財になっている古民家などで使われていますので、
古い無垢材の床は○○ミュージアムや、近いところだと、茨城県の海浜公園の古民家で見られます。
一方の合板フローリングが普及しだしたのが50年ほど前。
30年目ぐらいから接着剤が切れ、床がブワブワしはじめるのが確認されています。
(接着剤の寿命は一般的に20年程度と言われています)
また、合板フローリングは接着剤で合板を形成していますから水分を嫌います。
水分が入らないよう、表面を樹脂コーティング(ウレタン樹脂塗装)されており、
この樹脂コーティングは表面に塗膜を作る一方、小傷が生まれやすく、この小傷が表面を曇らせてしまいます。
定期的に樹脂ワックスを塗るのはこの小傷を樹脂で埋めて、輝きを取り戻すためです。
無垢の床材であっても合板フローリングであっても大きな差はなく、
どちらかが一方的にメンテナンスが大変というわけではないのです。
そうなると資産価値としてはどちらが高いでしょうか?
+
100年前の家具で考えればプラスチックの家具よりも木製の家具の方が味わいがあり、資産価値が高いですよね。
同様に合板フローリングの家よりも無垢床の家の方が資産価値は高いように感じます。
ま、主観的なものですから、どう判断するかはお客様によってくると思いますけどね、、、、
タイトルから内容が大きく変わってしまいましたが、、、、
変えられないもの。
住宅において、断熱材や窓を入れ替えるのは大きな工事となり、工期も費用もかかります。
つまり、変えられないものです。
間取りは変えられますが、窓はあまり入れ替えない方が良いと思いますので、
基本的に間取りも変えられないものだと私は考えています。
前述した床のメンテナンスは多くの方が気にしますが、断熱材のメンテナンスなんて誰も気にしません。
だからこそ断熱材の「質」は大切でしょう。
お布団のような断熱材は水分を含むと断熱性能が劣化します。
ニュースタは入れ替えができない断熱材こそ大切だと考えて、高性能なものを使用しています。
また、窓も後から結露で悩むぐらいなら、と、樹脂のトリプルガラスのものを使用しています。
キッチンはいつか変えなければならない部品。
お風呂もいつかは変えなければなりません。
キッチンやお風呂にこだわるのも良いですが、今、予算を掛けるべくは「変えられないもの」。
ニュースタは「変えられないもの」に住宅の予算をかけています。