今日はトリプルガラスについて考えてみます。
簡単に書けば、「窓」のことです。
ちなみにニュースタの標準仕様はトリプルガラスの窓ですが、
「トリプルガラスを全面的におすすめ」
とは書きません。トリプルガラスの欠点もきっちりと書いておきますのでご参考に。
まず、トリプルガラスとは?
こんな感じで窓にガラスが3枚はまっているものが「トリプルガラス」です。
昭和の家はほとんどがガラス一枚でしたが、最近はペアガラスといってガラス2枚のものが主流ですね。
そして、ニュースタをはじめ、一部の住宅会社ではトリプルガラスを標準採用し始めている。
でもですね、ガラスの枚数より重要な事があるのです!!
それが窓の材質。
いや、透明な部分はガラスですよ。フレームのことです。
フレームが何でできているか?はガラスの枚数と同じぐらい、いやもっと大切だと思います。
現代において、断熱材が入っていない住宅は作られていません。
一時期、木の板を断熱材として使う動きもありましたが、今はありません。
材質による熱の伝わりやすさを「熱伝導率」と言います。
数字が大きくなるほど熱伝導が良い=熱を伝えやすい=断熱性能が低いとなります。
熱伝導率は以下のようになります。
材質 | 熱伝導率 |
木 | 0.12~0.19 W/m・K |
断熱材(グラスウール16k) | 0.045 W/m・K |
断熱材(ポリスチレンフォーム) | 0.20~0.28W/m・K |
アルミ | 236 W/m・K |
樹脂 | 0.17 W/m・K |
一般的な断熱材、グラスウールと比べれば木は2.5倍以上熱を伝えますから、断熱性能は著しく低いです。
グラスウールは断熱材の中でも安価なものですから、わざわざ高額なうえに断熱性能が低い木材を使う意味はありません。
そして、アルミは樹脂の1000倍の熱伝導率!となります。
料理で使う鍋にアルミ製があるのは熱伝導率が高いからなのです。
家の中で窓が結露する原因のひとつが窓のフレームがアルミだから。
ちなみにアルミフレームの窓を日本のように使っている国は他には見られません。
エネルギー問題は世界中で重要とされている事ですし、温室効果ガスを減らすためにも消費するエネルギーは小さい方が望ましいです。
つまり、アルミフレームの窓を使う理由は(ほとんど)ないのです。
しかしながら、日本の場合大手窓メーカーはアルミフレームを大量に生産してきました。
大量生産するための工場、その設備、そのノウハウを無碍にしてしまうのはメーカーの損失になりますから、
今でもアルミフレームの窓は大量に生産されていますし、小さな樹脂パーツを入れた複合窓なるものも開発されています。
アルミフレームの窓にトリプルガラスを入れる?
もし、そんな提案を受けたのならまったく意味がないです。
ペアガラスがこの世に普及しだしたのは20年ぐらい前。
当時はアルミフレームにペアガラスが一般的で、ニュースタの前身であるモリハウジングでも採用していました。
ところがこれが「寒い」。
そして「結露」する。
当時のペアガラスの空気層の厚みにも問題がありますが、原因はアルミフレームです。
そのうち小さな樹脂パーツを加えた断熱フレームが出てきましたが結露は止まりません。
むしろあちこちに存在した隙間を埋める技術が高まり、結露は多くなったように感じます。
つまり、トリプルガラスにすれば良い、というわけではないのです。
最初にやらなければならないのが家の断熱性能を高める。ということ。
断熱材の種類や厚みを工夫するだけで簡単に断熱性能は高めることができます。
グラスウールを使用する場合は施工技術がとても大切です。
グラスウールの内側に防湿フィルムをきちんと貼る必要があります。
実はこの防湿フィルムをきちんと貼らなければ断熱材に水分が入り込み、
断熱性能は落ちていってしまいますから「俺んち古いか寒いんだ」ということになります。
そして、窓を樹脂製、木製のどちらかにする必要があります。
アルミサッシや樹脂とアルミの複合窓の性能は著しく低いです。
家を快適にしたいのならガラスの枚数より壁の断熱と窓の材質です。
住宅会社のほとんどがメーカー製の部材を組み合わせているだけです。
窓を造作で作る事は(家の断熱や気密を考えれば)不可能なので、
窓メーカーの商品を購入する必要があります。
その際に窓メーカーや販売店の営業マンによっては「嘘」を伝えることもあり、
我々住宅メーカーがそれを鵜呑みにしてしまうのが悲劇のスタートです。
樹脂サッシなんて関東には不要です。
なんて、窓メーカーや販売店の営業マンが言ったりするので、
いまだにアルミサッシや複合サッシを標準仕様にしている住宅メーカーも存在します。
おそらくこのブログを読んでいる人の多くが一般ユーザー様だと思いますので、
正しい知識を身に着け、良い住宅を入手できるよう頑張ってください!