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地震で壊れない家は存在しません

 

去る1月1日16時10分に能登半島で大きな地震が発生しました。

その後、大小の地震が続けざまに発生し、住宅火災も同時に発生し、
多くの住宅や住民が被災をされました。

命を落とされた方には心よりお悔やみ申し上げます。

また、けがをされた方、住宅の全半倒壊によりお住まいをなくされた方には
心よりお見舞い申し上げます。

住宅の作り手として、今回の地震から考えることを書いておこうと思います。
本ブログはこれからの住宅業界の在り方についてを書くものです。
被害に遭われた方に対しての意見ではありませんので、誤解のないようお願いします。

 


 

東日本大震災も含め、震災により倒壊する建築物があります。
そしてそれは古い住宅ばかりではなく、新しい住宅も同様に倒壊をします。

驚くことに住宅の場合、耐震の検討をされていない住宅が過半です。

 

ちょっと難しい話しですが、日本では住宅を建築する際に、
耐震の検討や風に対する検討を行わなければなりません。
これは義務で、すべての住宅について行わなければなりません。

 

でも、この義務は表向きです。

 

耐震や風に対する検討は行わなければなりませんが、
エビデンスを行政機関などへ提出は行わなくても良いのです。

 

ニュースタが標準仕様としている「長期優良住宅」は耐震や断熱性能が必須です。
当然耐震の検討も行いますし、断熱の計算も行っています。計算の結果は行政に提出をしています。
面倒な作業ですが、「長期優良住宅」を取得するためには一般的な方法となります。

 

しかしながら通常の住宅の場合、耐震の検討結果は提出しなくても良いのです。
耐震の検討は設計士の判断で行い、検討内容は保存しておけば良いという仕組みです。

 

 

過半の住宅が耐震の検討すら行っていません。

 

私がこの業界に入った時に衝撃を受けました。
「耐震の検討は行わなくて大丈夫。平面図と立面図と配置図だけで大丈夫」
と言っている住宅メーカーさんがとても多いのです。

 

だからニュースタは全棟で”耐震や断熱の検討を行わなければ取得することができない
長期優良住宅”を実施しているのです。

 

住宅とは言え、耐震の検討を行えばボリュームのある内容です。
行政機関では多くの建築物の許可を行うため、作業が膨大で、
住宅の耐震の検討の審査を省くことにより効率化をしているのですが、
でも、「家は命を守る場所」という前提であればこそ、
耐震の検討を省くことは本末転倒とも言えます。

 

+

 

2025年より住宅の建築時にされる耐震の検討を行政に提出することが決まっています。

 

多くの住宅メーカーは耐震に対する検討を行うことはできます。
そして、提出が義務化されていないだけで、内部で耐震の検討は行わなければなりません。

ですので、もし、住宅建築の依頼をしている会社さんがあればお願いしてみてください。

 

「耐震の検討を私に提出してみてください」と。

 

これで、「別途費用がかかる」という答えが出てくるようなら耐震について軽視していますよね。
だって、「耐震の検討」を行うのは当たり前で、その結果を提出するだけなのですから。
また、検討を行った結果、構造体が変更になったり、今までなかった場所に壁ができたり、
基礎が変更されて工事費が増えたりするのも変ですよね。

住宅会社としてお客様とお話ししていると、妙な理由でクレームになる場合があります。
例えば「私たちの理想の家にしてくれない」なんて。
耐震のための壁を設けることは、希望の巨大なリビングをレイアウトするより大切なのです。
お住まいになっては邪魔かと思いますが、そこに柱を設けなければ安全な家にならないのです。

私たちの提案する住宅は耐震に対する検討結果も、断熱に対する計算も
お引渡しと同時に書類と一緒にお客様に提出するのが通常です。
別途費用もかかりませんし、工事に変更も生じません。

 

家は命を守る場所です。

 

私たち住宅メーカーこそ、そういった意識をきちんと持ち、
提出が義務化されていない耐震の検討は行政には提出せずにお客様に提出しなければならないと思います。

 

そして、地震には「想定の範囲外」が必ず生じます。

 

私たちは「想定の範囲」を超えた耐震の検討を行うべきなのです。
お客様の命を守るなら、それぐらいやって当然だと思います。